2014 年 1 月 のアーカイブ

エッセイ : 「地震保険を語る」 全12回

2014 年 1 月 16 日 木曜日

≪第十回≫ 地震保険料の「正当さ」

「保険料が高いから地震保険には加入しない」 という声を聞くことが多い。「高い」 という感覚の背後には色々な事情があるのだろうが、やはり、一番の理由は、「地震なんてまず来ない、もし来ても被害を受けるがどうか分からない、それに対して支払う額としては高い」 ということなのではないだろうか。

地震保険の保険料計算のためには、二つの要素が必要になる。一つは地震そのものの発生予測、もう一つは保険の対象である住宅と家財の損害の予測である。地震保険の保険料率を出しているのは、損害保険料率算出機構という法律に基づく特殊法人で、次のような手順で保険料率を算出している。

まず、政府の組織である地震調査研究推進本部が出している 「確率論的地震動予測地図」 に基づき 73万の地震モデルを作成する。これが地震そのものの発生予測である。次に、日本国土を1キロ四方(1キロメッシュ)に切ってそこに所在する住宅と家財のリスク量を算出する。そして、この二つを重ね合わせて国土全体の地震リスクの総量を算出する。つまり、73万の地震の一つ一つによって、周辺1キロ四方内の住宅と家財にどれだけの被害が出るかを算出するわけである。最後に、日本を4つの地域に区分し、鉄筋と木造という2つの建物構造に分けて、4×2で出きる8つのリスク区分に見合う保険料率を算出するのである。

地震の被害予測はとても難しい。しかし、地震保険は、一般の保険とは異なり法律に基づき運営されている。そして、国が再保険を引き受けている。さらに、長い時間の中で収支を合わせなければならない。このような中で、人ができる究極の限界まで厳密に保険料を算出しているのが地震保険なのである。

物理学者の寺田寅彦は、次のように言っている。

「ものをこわがらなさ過ぎたり、こわがり過ぎたりすることはやさしいが、正当にこわがることは難しい」

(文責個人)

日本損害保険協会 常務理事  栗山 泰史